喫茶マンスペース

今日も特になにも起きず。だがそれで良い

「鈴木福くん」と同じ髪型にしたいと思っているが、ちょっと気になる点がある。

そろそろ髪を切ろうと考えている。私は、もう何年も同じ髪型を続けており、さすがにイメチェンしたいという気持ちが芽生え始めている。というのも、私の髪型に対する周囲からの反応がすこぶる悪い。

 

家族にはもちろん、職場の上司、初対面のキャバ嬢からも「髪型を変えろ」と言われる始末である。キャバ嬢が目の前にいる客をディスるというのは、聞いたことがない。ある意味、職務放棄と言えるだろう。もしくは、己の業務を投げうってまで私の今後の発展を願っているのかもしれない。愛情の裏返しなのかもしれない。

 

しかしながら、冷静に考えると髪型について言及されるのも分かる。今の私の髪型は、売れない芸人がしていそうな髪型の上位に間違いなく入るであろう「マッシュルームヘアー」である。にもかかわらず、普段私は、何食わぬ顔でサラリーマンをやっている。ふと振り返ってみても、私が身を置く業界でマッシュルームヘアーの役職者を見たことがない。

 

そうである。私はこんなに恥ずかしいブログをやっていながら、なおかつマッシュルームヘアーであり、さらに会社では役職をもらってしまっている。これは、早急に髪型を変えるか、役職を剥奪してもらうしかない。これしかバランスを整える方法が思いつかない。

 

これならば、いっそのこと役職を与えられる際の条件として「髪型を変えること」を加えてほしかった。何らかの強制力が働かなければ、もう動きだせない。もちろん、昨今であればこんな条件は、パワハラの類いに含められる可能性がある。こんなものは時代にあっていない。しかしながら、このパワハラ撲滅の流れが、私のキノコ頭を確固たるものにしたことは否定できない。

 

ともあれ、先日「やはり切らねば」と思いインスタを徘徊していた。すると、「鈴木福くん」のインスタが目に入った。この鈴木福くんの髪型が、悩める私に刺さった。「この髪型は良いのではないか」、久々の感覚である。なんというか、とても安心感のある髪型だ。落ち着きがあり、さらに誠実な雰囲気までもが醸し出されている。

 

「この髪型にしよう」。そう思った。だがその直後、さらに思った。

 

私の年齢は20代後半である。そして、鈴木福くんは16歳。年齢が違いすぎる。この髪型にしてもらうならば、美容院に行き「この写真の鈴木福くんと同じ髪型にしてください」と美容師に依頼しなければならない。16歳といえば、まだ子供である。

 

私の固定観念ではあると思うが、20代後半の男であれば、30代の髪型を目指すのがベタなところだと考えている。それがいきなり「16歳の髪型になりたい」と言っているのである。「いったいどういう思考回路で?」と思われそうで怖い。

 

美容師の立場になってほしい。来店した客に「今日はどのようになさいますか?」と伺う。すると、その客は「ちょっと、こういう髪型はどうかなぁと思ってまして…」と言いながら、おもむろにスマホを取り出し、インスタを開き、何やら検索をはじめ、こちらに画面を見せてくる。そして、そこには鈴木福

 

おそらく、問題はないのだろう。いついかなる状況でも、私が料金を払っている以上、美容師は私の髪型を鈴木福にする義務がある。

 

しかし、私自身に勇気がない。残念ながら、鈴木福くんが私の年齢を追い越すことはない。私が30歳を迎えた日に、何らかの理由で鈴木福くんが35歳になっていることはあり得ない。

 

そんな中で、もし美容師が鈴木福くんに詳しくなければ、何とかなるのではないかという方法を考えた。それは、美容師に注文する際に「元子役の鈴木福さんと同じ髪型にしてください」と伝えるというものだ。鈴木福くんも16歳。さすがに世間一般がイメージしている子役の年齢ではないだろう。この表現に嘘はないと思われる。

 

どうだろうか。「元子役の鈴木福さん」。このように表現すると、まるで鈴木福くんが20代前半くらいの年齢かのように聞こえないだろうか。しかし、これではまだ不十分である。自分自身の呼び方は「僕」に統一する。そうすることで、自分自身の年齢を低めに見せる。こうすると、表現の上で、私と鈴木福くんとの年齢差を縮めることが出来る。

 

というわけで、美容師から「今日はどのようになさいますか?」と聞かれた際の第一声はこうである。

 

「僕、今ちょっと気になっている髪型がありまして、元子役の鈴木福さんの髪型はどうかなと。」

 

 

もし髪型を変えた際は、改めてご報告させていただく。ブログに書くに値すればだが。